モールから帰るにはふたりとも電車で、途中まで同じ方向。
だから当たり前のように同じ改札を通って隣同士に座ったわけなんだけど。
「いや…だから、いいって」
「それは俺が無理」
「無理っていうのが無理!」
「言うこと聞いて、楓夕」
お前が言うこと聞け!! って叫びたいのを抑えて、絶句。
ほら、あたしたちの前に座ってる女子高生が笑ってるから…。
何をこんなに言い争っているかというと、つまり、あたしを家まで送りたい高嶺と、送ってほしくないあたしの戦い。
送ってほしくないっていうのは、高嶺と一緒にいたくないわけじゃなくて、シンプルに申し訳ないから。
高嶺のほうが先に降りるんだし、あたしのことは気にせずに帰りなよって、もう何度も言ってるんだけど…。
「なっ…なんでそんなに送りたいの?」
「危ないから」
「まだ外明るいし…」
「言うても夕方じゃん。変質者に会ったらどうするの」
どうしよ…。
高嶺、引かないつもりだ…。



