「あー、そんな泣きそうな顔しないでよ。可愛いな、ホント」
「…う、嘘ついたの?」
「嘘はついてない。元カノが好きだったのは事実だけど、わざわざいう必要なかったよな、ごめん」
困った顔をして笑ったあと、あたしの頭を撫でる。
違うし、別に、嫉妬…じゃないし。
あと、通る人みんなにチラチラ見られてて恥ずかしいから、やめて…。
「大丈夫だよ。どんなに元カノがいようと、これから先すきなのは楓夕だけだから」
「っ…し、心配してない」
「そう? もう俺の気持ち信じてくれた?」
「…うん」
冗談とか、嘘ついてるとか、思うわけないでしょ。
こんなに全力で愛情表現されて、普段は女嫌いって噂の高嶺があんなに慈愛に満ちた表情をしてて、今更そんなこと思うわけない。
「ここはレディースだから、もっと他のところ見る?」
「うん」
でも…。
そんな甘いセリフは吐くくせに、手は握ってこないし、頭撫でる以外に触れてこないし。
…高嶺って、そういうところ、よくわかんない。



