「なにか困りごと?」
…いた。
都合のいい存在。
あたしの机までわざわざ出向いてくれちゃって。
頼むから、今だけ都合よく扱われてほしい。
高嶺がそんなキャラじゃないのは百も承知ですが。
「実は、お兄ちゃんの誕プレを決めかねてて…」
「ふーん。中野さんがいるじゃん」
「あたしは年上の好みとか知らないし。アドバイスできないんだよねぇ」
そうそう。
だからさ…。
「…俺でよければ手伝おうか?」
来た。
ナイス、高嶺。
っていうか、わざわざ言葉を待って高嶺のほうから言ってくれるの待ってるの、いやらしいな。
「いいの?」
「うん、まぁ、その目はそういうことでしょ」
「…そんなにわかりやすい?」
咲花の顔を見て聞くと、「顔に出まくるタイプだよねー」とスマホを見ながら言われた。
そして高嶺に視線を戻せば、ソイツは口角を持ち上げる。
「俺についてきてほしかったんだ?」
あ…。これ、知ってる。
この前、高嶺と喧嘩して仲直りするときもこんな感じだった。
『俺と話せなくて寂しかったの?』って、言わせたいような目線。
思い出すだけで顔が火照る。
あのときの二の前にはならない…。