『柊木くん』
体育から帰る途中、引き留められた。
呼び出しには応じないことが分かっていたからだろうけど。
またか、って深いため息をつきそうだった。
『わたし、本当に柊木くんのことが好きなの…』
本当に、ってなんだよ。
意味わかんない。なんで俺なの?
考えれば考えるほど、”顔だけじゃん”という結論に落ち着く。
好きとか、軽々しく言ってんじゃねーよ。
『ど、どうしてもだめかな? 付き合えたらなんでもするっ』
出た出た。
女の常套句。
なんでもって、それ本気?
両想いじゃないのに付き合って、お前は幸せなの?
適当なその場しのぎの言葉。
もう飽き飽き。
『無理』
あー、ほらな。
気に入らないとすぐ泣いて、周りに同情を乞う。
そういうところが、嫌い。
ていうか、ぜんぶ嫌い。
泣きながら走っていく女子の姿を見送ってから歩き出すと、不意に背後から足音が聞こえて振り返る。



