案の定、一瞬で顔なんか忘れた。
名前だけは頻繁に聞いたから、かろうじて覚えてたけど。
『柊木くぅーんっ』
すこーんって大きなハートが頭にぶつかるような衝撃。
女子に名前を呼ばれるだけで気分が悪くなる。
『今日あたし空いてるんだけど…』
お前の予定なんか知らねーよ。
『よかったらうち来ない…?』
は? なんで俺がお前の家に?
よかったらって、何もよくない。
『…いや、無理』
『えぇ…っ』
隣でさっきまでの男子たちに『相変わらず冷酷~』なんてひそひそ言われてるのも、無視無視。
『なんか、柊木くんって付き合ってからも冷たいよね…』
『…は?』
付き合って、から…?
待って。俺、いつこんなのと付き合った?
夢遊病?
寝てる間に告白オッケーしたりした?



