映画を見たあとは、二人でショッピングモールをぶらぶら歩いた。
「二年生になってどう?」
「あーやっぱ数学が難しいかなあ。また今度教えてくれる?」
「いいよ。わからないとこもっといで」
「やったー。大学はどんな感じなの?」
「楽しいよ。やっぱ自分が興味あることだし、周りも同じように興味もってるやつらだから楽しいしね」
孝ちゃんは市大の理工学部にいっている。
文系の私からすると全くなんの勉強をしているかはわからないのだけど。
「そうなんだ。孝ちゃん頭いいもんね。バスケは部じゃなくてサークルにしたんだっけ?なんで?」
「バスケは本気でしようと思ってたわけじゃないし、たまに集まってやるくらいが楽しくていいんだよ」
「そっか」
サークルの仕組みが私にはよくわからないけど、たぶん部活よりは緩い感じなんだろう。
「あれ、田邊くんじゃない?」
そのとき、甲高い声が耳に届いた。
思わずそちらを見ると、三人組の茶髪の女の人たちがこちらに近づいてきている。
どの女の人もスラッとしていて細いし、華やかな化粧をしていた。
「やっぱ田邊くんじゃーん。なにしてんの」
女の人達は私なんか眼中にもないように一瞥もせず、孝ちゃんだけを見ている。
孝ちゃんの友達……?
「サークルの子たちだよ」
こっそりと孝ちゃんが耳打ちしてくれた。
大学の友達ってこと?
孝ちゃんが私に耳打ちしたことで、女の人たちが私をじろじろ品定めするかのようにみた。
「買い物中かな」
そういった孝ちゃんに目配せし合ってた女の人たちがにっこりと笑った。
「そうなんだー。一緒にいるのは妹さん?」
「違うよ」
「え?じゃあ彼女?」
問いかけられた質問に自然と背筋が伸びてどきんとした。
孝ちゃんがなんていうかドキドキしてたら「そんなことより三人は何してるの?」と話題を変えた。
そんなこと……。
なんで、彼女って、いってくれないんだろう……。
紹介してくれなかったことは私が思っているよりダメージが大きくて悲しくなる。
「ご飯食べてぶらぶらしてただけだよ」
「そうなんだ。そろそろ俺ら行くね」
孝ちゃんがそう切り上げて、さりげなく私を誘導した。
「じゃあまた大学でねー」
三人はにこやかに笑いながら手を振って去っていった。
「ごめんな、うるさくて」
「あ、ううん。ぜんぜん」
それよりなんで、彼女っていってくれなかったのかがぐるぐる頭を回っていた。
「孝ちゃん、私、お手洗いいってくるね」
「あ、じゃあここで待ってるよ」
「うん」
とりあえず一旦孝ちゃんから離れたくて、私は足早にトイレへ向かった。



