母の葬儀には大勢の人々が訪れた。テレビ局や新聞社などのマスコミ関係者、それに映画関係者だ。生前に親交のあった監督やプロデューサーや大勢の俳優さんたち。わたしとが弟が子供だった頃から可愛がってくれた人も多い。テレビドラマや映画でしか顔を見たことがないようなベテランの俳優さんもいた。

 小説家としてのわたしの仕事関連の方々も、出版各社の代表取締役の肩書きを持つ方々はわたしも初めて会った。それも女優としての母の力だ。

 喪主として葬儀に臨んだわたしには悲しんでいる暇など無かった。通夜から葬儀、納骨、そして母を偲んでくれた人たちのお別れ会に呼ばれたり、それらが一段落したのは、母が亡くなってから半年以上が過ぎてからだった。

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 アポイントを入れた時刻の十分前に着いた。受付で自分の名前を告げる。

「斉木は最上階の特別室におります」

 美人の女性スタッフに、慇懃な態度で、どうぞとエレベーターに乗せられた。