【短編】人気者な後輩の甘い意地悪






「…先輩?」


「へっ」


「俺といるのに考え事?」





不意に天城くんの顔を見た。
色素の薄い茶色の瞳と目が合う。



…息、詰まりそう。





「ち、違うよ……その、天城くんのことを…」






そこまで口走ってハッと気が付く。
わ、わたし。本人になんてことを…!





「…へぇ? 俺のこと考えてたってこと?」


「い、いやっ……ちが…わないけど…」





まいったな。
言い逃れなんてできそうにない。




観念してそれ以上は口をつぐんでいたら、あろうことか、天城くんがわたしの髪をさらっと撫でた。





「わっ…!?」





思わず顔が熱くなって、反射で天城くんから距離をとってしまう。
だ、だって、これは、とてもじゃないけど平常心じゃいられない。