【短編】人気者な後輩の甘い意地悪






困惑しているわたしの気持ちを汲み取ってか、天城くんはふっと笑った。




「俺が先輩と喋りたかっただけ」




…それはさぁ、ずるいよ、天城くん。




天城くんは知らないだろうけどね。
わたし、あなたに恋してるんです。



だから軽率な発言は、ダメだよ、絶対…。





「…わたしなんか、大した話できないよ…浮いた話もないし…」





控えめに小さな声で言えば、天城くんはこれまた小さくため息をついた。




「…先輩の浮いた話なんか、あってたまるか」





…ショック。
そっか…。
たとえあったとしても、聞きたくないよね…。






「ご、ごめんね……」





素直に謝ると、「別にいいし」となぜか不機嫌だ。
あぁ、やってしまった…。



もしかして、相当嫌な思いをさせてしまったんだろうか。





「嫌いになった…?」





わたしが聞いたら。





「…なるわけないし」




と、まだ不機嫌そうに、それでいて嬉しい言葉を返してくれた。