【短編】人気者な後輩の甘い意地悪






「じゃあ…失礼します」


「なんで敬語?」




天城くんに笑われながら、床に腰を下ろした。
普段より低い位置から見回す教室は、なんだか新鮮。





「それで…委員会の話だよね?」





わたしが尋ねると、天城くんは思い出したような顔をする。
相変わらず、その顔は直視できず、横目で盗み見るだけだけど。





「あー…それね、嘘」


「…へ?」





続けて、「そういやそんなの言い訳にしたなぁ」と。



嘘? うそって…。
な、なんのための?






「だって、そのほうが俺が先輩を呼び出すのも自然でしょ」




そりゃあ…そう、だけど。
そもそも、天城くんがわたしなんかを呼び出す理由がわからないから、こうして戸惑っているわけで…。