【短編】人気者な後輩の甘い意地悪






そして移動してきたのはもうずいぶん使われていない空き教室。
さっとドアを開けて中に入る天城くんに、『なんで鍵あいてるの?』とか、聞きたいことはあったけど。




ふたりともが教室に足を踏み入れると、手慣れた様子でさり気に鍵を閉めて、おもむろに窓際へ移動した。





そして、窓際の壁にもたれて座った天城くんは、自分の隣の床をポンポン、と叩いている。




えっと…。
それは、つまり。



ここに座れって、ことかな…。





「…来ないんですか?」




うだうだと悩んでいたら、天城くんが不思議そうに首を傾げた。
いや、だって、ねぇ…?




無理でしょう。
いきなり…そんな。




ずっと前からあこがれていた天城くんの隣に座るなんて、恐れ多くて。