【短編】人気者な後輩の甘い意地悪






「どうしたの」




さらって髪を撫でる手をやさしく払いのけて、わたしは俯きがちに笑った。





「…失恋、しちゃって」





わたしの言葉に、「え?」と聞き返してくる天城くん。



そうだよね、急にこんな話されても重いよね…。
でも、聞いて。
わたし、振られに来たの。今日、あなたに。





「好きだった、すごく…天城くんの、ことが」





声、震えてた。
ちょっと涙も出てる。



こんなこと伝えたら…もう、話してくれなくなるかもしれない。



それでもいい。
諦めるにはもってこいだ。





「でも、それも今日で終わり……わたし、諦めることにしたの」




出来る限り笑って終わらせたかったけど…。
それだけは無理そう。


…天城くんに見せる最後の顔が、泣き顔だなんて。
情けないな…。





「…なんで?」





ずっと黙っていた天城くんが口を開いた。
なんで? …って、こっちが聞きたい。



どうして、あんなところでキス、してたの…?