【短編】人気者な後輩の甘い意地悪






そんなことを思いながら迎えた放課後。
気が進まない。



でも…。
天城くんに想いを伝えて、きっぱり振られる予定。



そうでもしないと、またずるずる引きずってしまう。



天城くんの言葉で、『ごめんなさい』を聞きたい。
だから…わたし、待ち合わせ場所の空き教室に向かう。





ーーガラ。




あたりまえのように鍵は開いていて、中を覗くと、今朝と同じ位置に天城くんが座っていた。





「遅かったね、先輩」




足取りが重くて、なんて。
とてもじゃないけど言えない。




「ごめんね」


「いいよ」




おいで、って手招きしてくれるから、わたしも天城くんの隣に腰を下ろしたけど。
…気分、重いなぁ。





「先輩、元気ないね」


「…そう?」




うん。
だって、空元気すらできない。


わたし、失恋したんだ、今日…。