【短編】人気者な後輩の甘い意地悪













その日一日、ワクワクして待っていたのはわたしだけだったんだろうな、と思って、肩を落とした。





結局…。
天城くんみたいな人気者に恋をしたところで、わたしなんか相手にされず振り回されておわり。




それをひしひしと感じつつある。





…というのも。




さっき、廊下の角で天城くんを見た。




…ひとりじゃない。
女の子と、一緒に。




別に盗み聞きするつもりなんてなかったけど、大人しくその場から離れるなんてできなくて。
結果、ものすごく後悔している。





「ね、いっかいだけ…」


「…むりだって」





天城くんと女子の押し問答を聞いて。
本当は、少しだけ泣いた。





わたし、思ったより嫉妬深いよ。
天城くんが他の子と喋ってるだけでクラクラする。




…酸素が足りない。
息が苦しい。




恋をしていてこんな気持ちになるのは、さすがにはじめてだった。