【短編】人気者な後輩の甘い意地悪






「俺と試してみる?」


「……」





試したくないわけじゃなくて、わたしはもうすでに天城くんに恋してるから、意味ないというか。



それよりもね。
天城くんがわたしに恋しちゃう可能性すらあるのが、危険なんじゃないかと。



あぁ、でも、あれか。
天城くんみたいな人は、わたしみたいな地味顔より、モデル顔の人にしかときめかないから…こんな実験したところで、平気か。






「わたし、天城くんみたいに顔整ってないから実験にならないとおもうよ」






わたしの言葉に、天城くんは少しだけ視線を落とした。





「…先輩は可愛いでしょ」





という、耳を疑うような言葉を残して。





可愛いとは?
たぶん、あれだろうな。
小動物とか、子供とかに対して使うような、”かわいい”。





自己完結してもう一度天城くんの顔を見ると。





「…先輩。またお門違いなこと想像してますね」


「え? お、お門違い…って」


「俺は、そういう意味で可愛いって言ってるのに」






そういう意味?
そういう、意味…って…?





「女の子として、愛おしいって意味です」





わたしの顔は溶けそうなくらい熱くなった。
…まさか、天城くんからそんな言葉をいただける日がくるとは。