ピッピッピッピッ

シューッ シューッ

聞き慣れた電子音と呼吸器の音、それに消毒等の特有の匂いがする。

入院に慣れた郁は、重い瞼を開ける前から、ここが病院だとすぐにわかった。

しかし、なぜ自分が病院のベッドで寝かされているのかを思い出せない。


目を開けると、見慣れた白い天井がある。

あぁ、またこの場所に帰ってきてしまったのだと実感する。

また発作が起きたのかな、最近とても調子が良かったはずじゃ…と、郁はぼんやりした頭で思った。


さきほどまで、どこか懐かしい、長い夢を見ていたような気がするが、内容は全く思い出せない。
なぜか頬が涙で濡れているのを感じる。

…そんなことより、肋骨がなんだかズキズキする。

喉にはチューブが入れられて声が出せず、無理矢理空気を送り込まれる度にむせそうになる。

体中がチューブやコードだらけで身動きも取れないが、体がとにかくだるくて動けそうにない。


早く誰か来てくれないかな…と思いながら、体のだるさから、郁はだんだんと眠くなってきていた。