「…碧、残念だが…」

1時間後、蘇生処置を行う手を止めた、汗だくの律がそう告げる。

「…まだ、蘇生可能だ!心マ代わります!…郁!おい!郁!起きろって!」

碧が郁に馬乗りになる。

碧が郁の胸を両手で強く強く押すたび、郁の体は力なく、押されるがままに揺れる。

手から伝わる、郁の肋骨を何本も折る感触。

既に生気が感じられなくなった、まるで美しい人形のように横たわる姿。



全て、悪い夢だと思いたかった。