郁は夢を見ていた。

郁と碧が初めて会った時の夢を。

父母に付き添われて入院している3歳の郁の元に、一組の男女の医師がやってくる。

「せんせー!」

小児科医の2人に対し、満面の笑みで手を振る。

2人の後ろから、少年が顔を見せた。

「…だぁれ?」

「あ、今日は息子が来てるのよ。碧、郁ちゃんに自己紹介しなさい」

「竹内 碧です。君が郁ちゃんだね。よろしくね」

「あおくん!あおくん、あそぼ!」

退屈な入院生活の中出会った碧に、目を輝かせる郁。

透き通るような白い肌に、キラキラ光る大きな瞳。

そんな大きな目を細め、満面の笑みで碧を誘う。

つい見てしまうえくぼ。

そんな郁の笑顔を見て、つられて笑ってしまう碧。

碧の笑顔を見られたことに嬉しくなる郁。


…あれ?この笑顔…

これは、誰…?

端正な顔立ちがくしゃっと崩れる、つい惹かれてしまう笑顔。

碧くんの、愛おしい笑顔。


ふと、前回の夢が急に脳裏に浮かぶ。

"僕が絶対に郁ちゃんのことを治してあげる"


碧くん?


竹内…碧くん?


…竹内先生…?

夢と現実とで思考が混じり合い、郁は意識を取り戻した。