「わかった!手術頑張ってね、郁」

郁は幼い頃から何度も何度も手術を繰り返し受けてきたはず。

なのに、簡単な手術を受けるだけで治るの?
とこころは一瞬疑問に思った。

しかし、郁が明るく嬉しそうに話すので、こころはその話を信じて安心した。

郁を失いたくないあまり、治ると信じたかったのかもしれない。

「ありがとう、大丈夫だよ、こころ!…こころ、一回ハグしてもいい?」

「なんでー!私に会えなくて寂しかったの?仕方ないなー」

照れながら、手を広げて近寄るこころ。

郁は、これまでたくさんの思い出をくれた彼女に、心からの感謝と謝罪の気持ちを込めてこころを抱きしめる。

涙は見せない。絶対に我慢しろ。

こころ、幸せに生きてね。

「えへへ…こころ、ありがとう」

「郁は甘えん坊さんだなー。また連絡待ってるからね!!」

「ありがとう、瞬やクラスのみんなにも、心配かけてごめんって伝えておいて」

「オッケー!じゃあまたね」

面会の15分を終え、こころが帰った。

自分で決めたこととはいえ、郁は罪悪感と寂しさで胸が張り裂けそうになり、枕で顔を隠しながら泣き続けた。

泣いているうちに、郁は泣き疲れて眠ってしまった。