医局にて、碧は先輩医師の矢野とともに、郁の心臓エコーの検査結果を見て悩んでいた。

「3ヶ月前の検査結果と比べて、かなり進行してしまっていますね…」

「これはもう内科的治療の段階じゃないな。一刻も早く手術を勧めた方がいい。それでも、当然一回で済む手術ではないし、術中死も充分あり得る」

「そうですね…ひとまず今日、清水さん本人と、保護者代わりの人と一緒に面談するので、手術の同意を取ります」

「まずはそこだな。任せたぞ」


その後も、碧は1人で郁の過去の検査結果や、同じ症例の患者の治療に関する論文を読み漁っていた。

読めば読むほど、良くない予後が想像できてしまう。

「郁ちゃんにせっかく会えたのに……死なせてたまるか…」