【短編】琉架くんは幼馴染を甘やかしたい







ーードンッ





無事。
資料室に辞書を思いっきり置いて、伸びをする。



重いもの持って肩と腰が痛い。
おばあちゃんかな…。





「おつかれ、白石」


「うん。森くんも…」


「ジュース奢るよ」


「…えっ、いいよ。むしろあたしが奢る」





森くんとはたまにこういうしょうもない言い争いをする。


今回は、ジュースどっちが奢るか論争。
結果。…キリがないので、あたしが折れた。





「よしっ」


「…なんで嬉しそうなの」





普通、おごりって嫌なものの代名詞じゃない?
あたしだけ?





「んー。白石に貢げるから?」


「……なにそれ」





一瞬固まってしまった。
貢ぐって…。
それこそ、嬉しいものではないでしょう。