【短編】琉架くんは幼馴染を甘やかしたい






「…いや、違いますけど」


「嘘だぁ」


「ホント!! 琉架くんなんて、世話の焼ける弟くらいにしか思ってないしっ」





ツンケンしながら答えれば、琉架くんは面白くなさそうに「ふぅん」とそっぽを向く。



なによ。
自分から言い出したくせに。
変な琉架くん。…それは昔からか。





「はやく自覚してね」


「…へ?」




なんのこと? って聞き返しても、琉架くんは相変わらず風景に夢中だ。
自覚ってなに…? き、気になる…!!



でもここでこれ以上追求したら負けな気がして、あたしも黙る。





「見て、星花。ちょうちょ」





そういって笑う、無邪気な琉架くんを見てたら。
…もう、気になっていたことなんてどこかへ行ってしまった。