意外と天然なところがあるから気づいてないだろうけど。
そもそも、俺の気持ちも知らないだろう。
……まぁ、いまはいい。
時が来たら伝える準備はできている。
11年間、どれだけ詩架を好きだったか教えてやるよ。
*
°
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「ただいま〜」
夕方になって、詩架が帰ってきた。
まだ17の俺は運転ができないから、大人の執事が詩架を送り迎えしてくれる。
それ以外は、基本俺の役目。
「おかえりなさい、詩架さま」
詩架が帰れば必ず出迎える。
天真爛漫な詩架は、帰ってすぐに今日の出来事を話してくれるんだ。
「浬恩! ちょっとわたしの部屋に来て!」