目の前には息を切らした浬恩がいて、わたしを抱きしめてくれていた。
……浬恩がわたしを助けてくれたんだ。
「浬恩のおかげで大丈夫だよ」
「よかった。マジで焦った」
「ありがとう……」
いつも失敗ばかりでごめんね。
浬恩が意見を譲ってくれたのに、けっきょく迷惑かけちゃってごめんね。
わたし、だめだめだ。
そりゃあ、告白の返事もできないのも同然だよね。
「詩架が危ない目にあったら、俺、生きていけない」
そう言ってぎゅっと強く抱きしめる。
えっ……?
そ、そんな。
いくら執事だとしても、命までは……大げさだよ。
それに、また……。
「浬恩……口調が……」
「……もう、やめる」