浬恩の綺麗な顔がわたしと同じ目線にある。
笑っててもわかるくらいくっきりとラインが入ったふたえの目に、スッと通った形のいい鼻筋。
薄い唇には艶があって、口角がほんのり上がってるところが色っぽい浬恩に、朝からドキドキしないわけがない。
「おはよ……浬恩。さ、さっき……なんて?」
いつも抱きしめてるうさぎのぬいぐるみをギュッとして、夢じゃないか確認した。
もういっかい言ってくれることを、ちょっとだけ期待して……。
「なんでもないですよ。それより、朝の準備が整いましたので着替えてください。ダイニングルームでお待ちしております」
作り物のような整った顔で姿勢良く立ち上がり、わたしの返事を待たずに背中を向けた。
ほら、すぐに出ていこうとする。
「待って……!」
わたしが起き上がってストップをかけると、ピタリと足を止めてくれた。
「どうされました?」