ドア越しでもかっこいい浬恩の声。

ドキッと胸が跳ねて、最後に鏡で確認して、ドアに向かった。



「うん! いま行くね」



扉をガチャッと開けると、いつもきっちりしたタキシードとは違って、紺と黒のカジュアルな服装を着た浬恩が待っててくれてた。

まだお家でお仕事モードが入っているからか、口調や振る舞いはいつもと同じく丁寧に話す。


……の、はずが。



「お待たせしまし……た」



わたしを見て固まる浬恩。


あれ……?

どうしたんだろう?



「浬恩……?」

「……あぁ、すみません。あまりにも詩架さまが可愛いので、硬直してしまいました」

「っ……」



浬恩に可愛いって言ってもらえた……!