嘘つき運命ごっこ

「あ!」


繋がっている運命に歓喜の声を上げそうになるけど、その瞬間に杉尾先輩の隣に、当たり前のように女子が寄り添っていった。

ふたりは、楽しそうに笑い合っている。


……あれ?


「若菜、先輩ってもしかして……」


私の言葉の続きが容易に想像出来たのだろう。

若菜は、小さくうなずく。


「彼女、いるの」


しかも、その相手には見覚えがある。

中学時代、若菜はバレー部に所属していた。
彼女とよく一緒にいた、美奈実先輩。


「美奈実先輩、私が同じ高校に来たことに、本当に喜んでくれたの。最近、彼氏が出来たって紹介してくれて……」


若菜は、顔を自らの手で覆った。


「先輩の彼氏……好きになるつもりじゃなかったのに」