嘘つき運命ごっこ



若菜と一緒に階段を上がり、上級生のクラスに移動する。

二年五組。


「好きな人って、先輩だったんだね。どの人?」

「えっとね、今……前の方の窓に……」


ふたりでコソコソと、教室の扉についている小窓から中を除く。

若菜が控えめに指を差す、その先を目で追うと、背の高い爽やかなイケメンがいた。

その見た目の華やかさから、うちのクラスでも密かに女子の注目を集めていた、杉尾先輩。


彼の右手の小指からも赤い糸は伸びていて、それはまっすぐに若菜へと続いている。