嘘つき運命ごっこ

「ごめん、ちょっと廊下出よっか」


と、若菜を廊下に連れ出す。

ふたりで窓の外を見ながら、若菜が小さく口を開いた。


「あのさ、芙結って……なんか恋愛相談?みたいの、得意だったよね?」

「得意っていうのも、ちょっと違うんだけどね……」


相談をしてくれた子の赤い糸が繋がっていれば背中を押して、
逆に赤い糸がまだ見えなかったり、意中の人に繋がっていなければ、さり気なくアドバイスをする。

それだけ。


「そんなこと聞くってことは、……好きな人でも出来た?」


顔を除き込むように、ドキドキしながら問いかける。

若菜は頬を赤く染めて、無言でうなずいた。

彼女には、赤い糸が繋がっている。

それは、もしかして……。


期待がふくらむ。

私は、ウキウキと浮き足立つ気持ちを隠しきれず、身を乗り出した。


「相手の人も、見てみたいな」