はあ……、と、思いっきりため息をつくと、瑞貴は怪訝そうな表情で私を見た。


「ふたりきりって、それ大丈夫なの?」

「今のところは、大丈夫じゃない」

「えっ!?その人に何かされ」

「胃が痛い」

「ああ、そういうこと……。良かった」

「全然良くないよ。学さん、ロボットみたいなんだもん。Siriの方が、学さんより人間っぽいくらいだよ」


右手を、目の前に掲げる。

赤い糸は、今日もあるなぁ……。

同じ赤い糸でも、パパと直子さんとは大違い。


また深く息を吐く私に、瑞貴がポンポンと優しく頭を撫でた。


「もう……、子どもじゃないんだから」

「子ども扱いしてるわけじゃないよ」


ニコニコと優しい笑顔を見せる瑞貴は、まだ撫でるのをやめるつもりはないらしい。


「困ったことがあったら、いつでも呼んで。夜中でも駆けつけるから」


瑞貴に、そんなことするわけにはいかない。

でも。


「……ありがとう」