嘘つき運命ごっこ

プシュウッと蒸気が出てしまいそうな熱々の額から、学さんの手が離れた。

「……何もないなら、よかった」


そう言って顔を背ける学さんの耳は赤くて、きっと私の熱がうつってしまったのだと思う。


部屋で着替えるためだろうか。
学さんが階段に向かうのを確認してから、私は触れられた額に手をやった。

手のひら、大きかった……。

包み込むように優しく触れて、視界いっぱいに顔が……。


「芙結ちゃん大丈夫?」

「!」


学さんでいっぱいになっていた脳内に、にゅっと直子さんの顔が現れて、声にならない悲鳴が飛び出た。