「それだけじゃないんです! クラルテを見ていると無性に触れたくなるというか……抱きしめて、愛で倒したくなるというか」

「……お前も一応男だったんだなぁ、ハルト。大丈夫だ。それが普通――至って健全で当たり前のことだよ」


 頑固で融通の効かないこの後輩と出会って早七年。こいつが僕に恋愛ごとの相談を持ちかけてくる日が来るとは夢にも思わなかった。


(人って変わるものだなぁ)


 あんなに結婚を拒否していたくせに……というか、ハルトは仕事以外のことに興味がなかった。趣味も特にないし、休みの日にも自主的にトレーニングのために職場に来ていたぐらい。夜会に連れて行っても、女性と交流しようなんて気は皆無で、いじりがいがなかったというのに。


(まったく、なにが『どうしたらいいんでしょう?』だ)


 僕からすれば、するべきことはあまりにも明確すぎる。悩む必要なんてこれっぽっちもないと思うんだけど。