「クラルテが可愛すぎてついつい意地悪したくなった」


 次いで、額に柔らかい感触。柔らかい感触――――って!?


「だっ、だっ、旦那様!?」


 キスされた! 旦那様に! 唇じゃなくて額だけど! キスはキスです!
 いいんでしょうか……こんなことされたら期待しちゃいますよ? このまま結婚してもらえるんじゃないかって! そう思っても大丈夫なんですか、旦那様!?


「あとは自分で着替えるから、少しだけ待っていてくれるか? 一緒に食事の準備をしよう」


 興奮していたら、ポンと頭を撫でられて、ものすごく優しい笑顔を向けられてしまいました。


(どうしましょう……胸がものすごくドキドキします)


 これでは今日一日、旦那様のことばかり考えてしまいそう……あっ、それはいつものことですね。すでに末期というか、手遅れですけど。

 わたくしは着替えをしている旦那様に背を向けつつ、ものすごくうるさい胸を必死に宥めるのでした。