(いざっ!)


 鏡の前に座って、深呼吸をひとつ。入念にスキンケアとマッサージ、それから笑顔の練習をします。


(旦那様がついつい触りたくなるようなお肌に仕上がりますように……! 少しでも可愛いと思ってもらえますように……!)


 ナチュラルに見えるように……けれどしっかりとメイクをしていきます。
 旦那様はあまり匂いのきつい化粧品を好みませんので、香料少なめのものを選びました。臭いと思われたら嫌ですからね。結構重要なポイントです。

 眉毛を整えてから、目が大きく見えるようにアイメイクをします。わたくしは童顔ですし、旦那様はわたくしの七つ年上ですから、本当は大人っぽく見えるようなお化粧をしたいところ――なのですが、旦那様はそれも好まないらしいです。