人生は虹色〜兄が僕に残した言葉〜

自転車を走らせる僕は自分の家に近づくにつれ、誰かが居るのに気づいた。



たくさんの色鮮やかな花壇のグラデーションに囲まれ、水道メーターの検針をしている男性。



あれは一番上の亨兄ちゃんの友達でもあり、親戚にあたいする人。



昌典《まさのり》くんだった。



よく家に遊びに来ては、僕のことを可愛いがってくれた兄ちゃん的存在な人。



「おー、仁《じん》くん久しぶりだな!帰りか?」



昌典くんは僕に気付き、

満面の笑みで歩み寄ってきた。



「うん。昌典くんは仕事?」




「そうそう!にしても大きくなったな、仁くん!

昔はこんなにちっこくて可愛いかったのに、今ではお兄ちゃんに似てカッコ良くなったんじゃないか?」



「いやいや、そうかな?そんなことないとは思うけど……ところで昌典くん?」




「はは、うん?……どおした?」




「仕事ってさー、楽しいん?」


ふと自分の開いた口から何を言ったのか、僕の脳みそは理解し、追いつくことができなかった。



「うん?急にどおした?」



「あっ!いや、その……昌典くんはこの仕事したくてしてるんでしょ?」




「はぁ?……んなわけあるかい!検針に何の魅力があって、仕事やこすんなら!食っていくため以外なかろォ?できることならスポーツ選手になりたかったわ」



何か困った様子で僕の顔色を伺っていた。


必ずしも大人になったからといって、自分のしたかった理想《夢》は、食べていくためといった理由《現実》に変わっていくのかもしれない。


それに、夢を叶えられなかったり、夢を諦めたりして、今自分が就きたかったはずの仕事とは全く別の仕事をがむしゃらに頑張っている人の方が多い気がする。



「そっか……」




「どした?検針に興味でもあるんか?」



「いや、そうじゃなくて……ただ将来、仕事するなら楽しい仕事に着きたいじゃん。

でも、楽しい仕事って考えた時に何が楽しいのか?本当に楽しいだけでいいのか?自分は何に向いているのか?って考えてたら、訳わかんなくなっちゃって……」



自分の中にあるモヤモヤが気持ち悪くなって、つい吐き出してしまった。