人生は虹色〜兄が僕に残した言葉〜





住宅街に囲まれた車一台が通れるかぐらいの道を自転車に乗り、僕はゆったりと帰る。



頭の中は将来の夢や自分が何をしたいかについて。



どうでもいいはずなのに、

頭から離れない劣等感。



———ああ、昔は違ったのになあ。



何で?



全ては親のせい?

それとも自分のせい?



いや、兄ちゃんのせいだ……



僕には兄ちゃんがいた。



14個と12個離れた兄ちゃんが二人。



昔は大好きで大好きで、ひっつき虫のように兄ちゃん達の傍にいつも居た。



面倒見がよく、頼りがいがあって、

憧れの存在だった。



一番上の亨《とおる》兄ちゃんはIT関係の仕事をしていて、パソコンのスペシャリスト。



その下の航《わたる》兄ちゃんは車の整備士をしていて、車のスペシャリスト。



『仁は何のスペシャリストになるのかなー?』

って母さんによく言われたっけ。



でもね、

兄ちゃん達に対する憧れは苦しみに変わっていったんだ。



なぜなら、

僕は何のスペシャリストになるか、選ぶ権利さえもらえないのだから。



両親はすぐに兄ちゃん達と僕を比べたがる。



『しっかりしなさい』



『お兄ちゃんを見習いなさい』



『お兄ちゃん達は凄かった』



すべて僕がダメで、決めつけるような言い方。



兄ちゃん達はカッコよくて、

何だってできる器用な人だから、

言われなくたって分かってる。



いつしか、心配になった両親は僕の人生までも決めつけるようになっていく。



自分が選んだ希望高より少し偏差値の良い高校に行かした母さんは『とにかく大学に入って大学を卒業する。そのあとはそうね、公務員にでもなりなさい』ともう勝手に僕の人生を決めている。



兄ちゃん達より勝るものが学歴しかないと踏み、大卒という最終学歴に拘る母さんたちは大卒まで行かせるのが親の役目だと考え始め、僕は嫌気がさしていた。


何を言おうと僕の意見なんて通らない。


だから、僕は将来、何になりたいかなんて考えるのを辞めてしまったんだ。



だって、考えたってそもそも無意味で、選択することすらさせてもらえないのだから……。