──直田を見付けたのは、ただの偶然に過ぎなかった。
大学の友人に連れられて、この辺りの古いラーメン屋に行った帰りだった。
いきなり降ってきた大雨に驚きつつ、折りたたみ傘を広げて駅へ向かったら、見覚えのある顔が道端に座り込んでいたのだ。
赤みを帯びたチョコレートブラウンのショートヘアに、いつも困ったようにハの字になった眉。少し垂れた黒目がちな瞳と、小さめの唇。
──直田澪。
いつの間にか疎遠になってしまった幼馴染で、初恋の子だった。
もっとも初恋と気づいたのは、直田と別々の高校に進学してからのことだったけど。
現在進行系で叶わなかった初恋を引きずり続けている状態だった俺は、一も二もなく様子のおかしい直田の元へ駆け寄って声をかけてしまっていた。
大学の友人に連れられて、この辺りの古いラーメン屋に行った帰りだった。
いきなり降ってきた大雨に驚きつつ、折りたたみ傘を広げて駅へ向かったら、見覚えのある顔が道端に座り込んでいたのだ。
赤みを帯びたチョコレートブラウンのショートヘアに、いつも困ったようにハの字になった眉。少し垂れた黒目がちな瞳と、小さめの唇。
──直田澪。
いつの間にか疎遠になってしまった幼馴染で、初恋の子だった。
もっとも初恋と気づいたのは、直田と別々の高校に進学してからのことだったけど。
現在進行系で叶わなかった初恋を引きずり続けている状態だった俺は、一も二もなく様子のおかしい直田の元へ駆け寄って声をかけてしまっていた。



