あ…と気づいたあおいは、食器棚からカップを二つ取り出す。
コンロの横に置かれたカップを見ると、あおいへ視線を向ける和真。
「よくわかりましたね」
「食後にコーヒーを必ず飲んでたので。あと、ケーキを食べるので…私ももらっていいですか?」
「もちろんです」
和真は、振り返って引き出しからコーヒースティックを二本取り、コーヒーを作った。
その間、あおいは新たにお皿とフォークを二つずつ取り出して置くと、冷蔵庫へケーキを取りに向かう。
「何のケーキがあるんですか?」
「ショートケーキとガトーショコラです」
「和真さんはどっちにします?」
ポットをコンロに置いた和真は、ケーキの箱を持って隣に来たあおいを見ながら、少し考えた。
「あおいさんが先に決めてください」
「…えっと…じゃあ……イチゴが好きなので、ショートケーキをもらっていいですか…?」
「もちろんです。イチゴ、お好きなんですね」
遠慮がちに聞いてきたあおいに対して、微笑ましく感じる和真は、柔らかな表情を見せた。
(子どもぽかったかな…)
恥ずかしさがこみ上げてくるあおい。
和真が箱を開けると、輝かしいケーキの美しさに、あおいの恥ずかしさは吹き飛んだ。
「わぁ…!」
思わず笑みがこぼれるあおいに、無意識に笑みを浮かべていた和真は、各ケーキをお皿に乗せていく。
最後にフォークを添えると、和真はカップを持った。
「こちらは熱いので、ケーキをお願いできますか?」
「はい!」
和真を先頭にして、後ろをついて歩くあおいは、両手にケーキを持ってリビングに行く。
リビングのテーブルにカップを置いた。
ソファーに座る和真に対して、あおいは床へ座る。
その様子に、和真は不思議そうにあおいを見た。
「そこ…ですか?隣に座ってほしいです」
「…は、はい…」
素直に気持ちを伝えてくる和真の言葉に、顔を赤くしながらあおいは、和真の隣に座った。
「どうぞ」
あおいの分のケーキが載ったお皿を渡し、自分も食べ始める和真。
続くようにあおいも食べ始めた。
「…おいしい…!さすがは名店ですね!」
「甘いですね」
「…ふふふっ…ケーキだから…あ、ごめんなさい…」
思わず笑ってしまうあおいは、ハッとすると咳払いをして、ケーキを口に入れる。
ケーキを食べ終わった和真は、お皿を置くと話を切り出した。
「まず、基本的に小鳥遊家の集まりは、僕が参加するのであおいさんが行く必要はありません。ただ、どうしても必要な場合にお願いします」
「わかりました…」
(…あとでマナーとか調べておこ…)
和真の説明にコクコクと頷いたあおい。
心の奥底では、ずっと不参加でいたい、という気持ちを抱く…。
