「笑っ…!?」
「すみ、ませ…ふふ…可愛い悩み方だな、と」
「…か、和真さんなら、どうしますか?」
「……最後までとっておく方ですが、取られたくないので、途中で食べてしまうかもしれません」
目を伏せて笑う和真は、ココアを飲んだ。
和真の言葉がわかったような、そうでもないような顔をするあおいは、少し考えていちごを皿の端へ置いた。
「…じゃあ、最後に食べよ…」
ボソッと呟いて生クリームが塗られたスポンジケーキを食べる。
「あ。和真さん、明日なんですけど、朝食は…」
「…せっかくなので、以前のパン屋に行きましょうか」
「やった!あそこのパン屋さん、もう一度食べたいって思ってました!」
無邪気に笑うあおいは、モグモグとケーキを食べた。
その様子を微笑ましく見ると、あおいの口元についたクリームを指で取る和真。
そのままクリームを舐めてみた。
「…甘い、ですね…」
「けっ、ケーキですから…!?」
真っ赤な顔は耳まで茹で蛸になるほど、恥ずかしさを覚えるあおい。
とうとう最後のひと口を食べた。
「あ。なるほど。酸味のあるいちごは甘さを和げる役割があるのかもしれませんね」
「そ、そうです、ね…?」
ふと、いちごに視線を向けた和真は、そのままあおいへと移して、じっと見つめる。
いちごと和真を交互に見たあと、いちごにフォークを刺して、和真の口元に持って行った。
「…途中で食べられますよ?」
「和真さんになら大丈夫です!」
「……」
あおいの返答に、少し困ったように笑う和真は、半分を残していちごを食べた。
「どうですか?口直し…のように、和らいでます?」
「………はい…」
口元を隠して食べる和真だが、あおいは赤みを帯びる顔を見逃した。
そして、残りのいちごを食べようと口を開くが、手が止まる。
(…待って…私、すごいことしてない…!?これ、かっ、かんっ)
「……」
「…あ…っ」
フォークを持ったままの手を和真が掴むと、残りのいちごを食べられてしまった。
至近距離で視線が合うと、あおいは思わず見惚れてしまった。
「ほら、食べられた」
ニヤッと笑う和真の言葉と共に、後頭部に手を回され、和真の胸元へ寄せられる。
言動も行動も追いつかないあおいは、大人しくすっぽりと収まっていた。
「…また買ってきますね、ケーキ」
「は…はい…」
和真の機嫌が良さそうな様子を見ると、よくわからなくとも嬉しさがあった。
そのまま二人は、少しの談笑を楽しんだ。



