「…?和真さ…」
黙ったまま、ポンポンと頭を撫で始める。
状況がよくわかっていないあおいは、ハッと気づいた。
「和真さん!熱!熱あるんじゃないですか!?」
体温計を取りに行こうと、和真を横切ろうとすると肩を掴まれ、動きを止められた。
あおいの肩を掌ひとつで包み込む大きな手。
「ゲホッ、今日は、シチューがいい、ゴホッゴホッ…それから…ココアを…ケホッ」
「か、和真さ…!今はそれどころじゃ…!」
「あおい…さんが、ゴホッ…いいです…ゲホッ」
おそらくうわ言だろう言葉に、不本意ながら顔を赤くするあおい。
すると、徐々にあおいにもたれかかっていく和真の体は、力が入らないことがわかり、あおいは慌てた。
「和真さん!大丈夫ですか!?部屋!部屋まで頑張りましょう!」
「……ゴホッ、ゴホッ…」
あおいの声に、気が付いたかのように肩を掴んでいた手に力が入る。
「…失礼…いってきます」
「ダメです!!今日はお休みしてください!」
支えるように抱きしめるあおいの力にさえ、抗えない和真の荒い吐息が聞こえてくる。
あおいは体勢を変え、肩を支えながら和真の部屋へ一歩ずつゆっくり向かった。
なんとか部屋に着いて中に入ると、ゆっくりとベッドに一緒に座った。
和真の体重を支えて歩いたあおいの息も上がる。
横にいた和真は、ドサッと音を立ててベッドに倒れ込んだ。
あおいはそっと和真の額に手を当てると、高熱であることを確認する。
そして、すぐにリビングに行き、体温計と飲み物とタオルを持って戻ってきた。
体温計のケースから本体を取り出そうとしたとき、気づいてしまった。
(……ふ、服…脱がすの…!?いやいや、じゃないと熱測れないし…!)
火照る和真に負けないほど、顔を赤面させながらあおいはゴクリと固唾をのんだ。
「しっ、失礼します…!!」
咳き込む和真のネクタイをゆっくり外していく。
ようやく外し終えると、カッターシャツのボタンを外し始めた。
「ケホッ…う…ん…」
「わ…!」
二つ目を外し終える頃、和真が体勢を仰向けに変えてしまったため、あおいもつられて覆いかぶさってしまった。
ふと目を開けた和真が、上に乗っているあおいへ視線を送る。
「ご、ごめんなさ」
ぼーっとしたまま、あおいの後頭部に手を回すと、そのまま自分の胸元まで抱き寄せて目を閉じた。
あおいの耳には熱のために呼吸の早い和真の吐息と、それ以上にドクドクと鳴る自分の心音でいっぱいになる。
顔が真っ赤になるあおいは、驚きで震える手で、後頭部を押さえる和真の手を退けようとした。
