父親の一歩後ろで鼻を啜るだけで、何も話さない母親。 時には下がることも必要。自分の意見が通らないこともある。 「…お袋は。親父と結婚したのは、自分が下がったから?本当は結婚したくなかったけど、自分の意見は通さなかったとか」 母親が目を真っ赤にして、俺と目を合わせた瞬間。 何か言おうとしていたみたいだけど、俺の視界が先に歪んで何も聞けなかった。