「緊張しすぎて、途中で失神するかも」 「それは息子として情けないぞ。どしっと構えておけ」 深呼吸を繰り返して心臓のバクバクを抑えていると、襖の向こうで控えめに入室の声がかかった。 「あぁ、お綺麗な方だ。うちの息子には、もったいない…」 父親のお世辞から始まり、母親同士の愛想笑い。 挟まれる俺らは何も話さず、俺に至っては相手と目も合わさなかった。