…知ってる。



依緒が図書室へ行く道がわからず迷っていたところを助けた。
あの出来事も覚えてる。忘れるわけない。




…そして、依緒が、その出来事を俺たちの初対面だと思っていることも。





だから、ムカつく。
俺のほうが依緒より先に依緒に恋してたのに。
それでも、こいつは俺の愛が大したもんじゃないって泣くの?





意味わかんないよ…。
俺がどれだけ依緒を好きなのか、全然伝わってない。




依緒。
俺たちの出会いは、図書室へ案内したあの日、じゃないよ。





…入試。
そう。俺たちがはじめて会った場所。高校入試。




今通ってる、この高校じゃない。




隣町の高校を第一志望で受けた。
正直、入試なんて舐めてかかってた俺、ちょっとしか勉強せずに臨んだ入試だった。