「自覚が足りないんだよ、依緒は…」
そんな説教じみたことを口にしながら、雫玖くんはまた首筋にかみつく。
甘くて甘くて、溶けそうになる。
雫玖くん。
あなたは、ずるいです。
「っ……雫玖くん、私、聞きたい…」
”聞きたい”。
それが、私たちの合図。
この合図を聞くと、雫玖くんは「依緒はずるいね…」とあきれながらも、ちゃんと伝えてくれる。
「…大好き。依緒」
雫玖くんの”大好き”には、いつでも愛がたっぷりで。
何回聞いても、泣きそうになる。
「いつになったら慣れるの? 依緒」
「だ、だって……雫玖くんが、私のこと好きなんて…っ」
信じられる、わけない。



