【短編】雫玖くんの甘いところ。







…モヤ。
心にかかった黒い影が、どんどん大きくなる。



独占欲。
わかってた、だんだん膨らんでいること。




毎日、雫玖くんへの気持ちは増して。
どんどんふたりの間で愛の大きさに相違が出てきて…。




いつかは、お別れ…なんて。
考えるだけで、血の気が引いていく。





「ちょっと、依緒平気? 顔色悪いよ?」


「…うん」





ちょっと。
頭冷やせば、大丈夫だから。




こんなの…変だよね。



付き合ってるの隠してる分際で、他人の好意に文句言えない。




「…リミちゃん、やっぱり私保健室行ってくる…」


「おっけー。先生には言っとくね!」


「ありがと…」





やっぱり気分悪くなっちゃった。
リミちゃんに断りを入れて、教室を出る。