【短編】雫玖くんの甘いところ。







だけど。
神様は意地悪だ。



そうやって不安になってるときに限って。




「明瀬くーん、ちょっといいー?」





隣のクラスの女の子。
雫玖くんが呼ばれる。



気だるそうに立ち上がって…。
教室の入り口で話すふたり。




分かってる。
あの子は、雫玖くんと同じ委員会の子。




この前私が永田くんと話してたのと同じ状況。
今回だって、なんの他意もない。



…分かってるのに、なぁ。






「依緒も気になるの? 明瀬くん」


「え…」


「かっこいいよねぇ」





もしかして、リミちゃんも…?


ダメだ。
今、ぜんぶが敵に見える。



私の雫玖くん…だなんて。
とても、おこがましいのに。