【短編】雫玖くんの甘いところ。






こんな奇跡、なかなか起こんないんだけど。



第一志望が同じ高校ってのはよくある。
だけどそれに二人とも落ちて、しかも同じ高校を第二志望に選んでいた。



…そして、二人ともそこに受かった。





ありえないのに。
こいつは。…依緒は、なにひとつ、覚えてなかった。




だから、今でもムカつく。




俺のほうが前から好きなのに。
依緒は、俺より好きになった歴が長いと息巻いている。




あー。
なんでかな。




なんで、俺、こんなにこいつにハマってんだろ。






「…し、雫玖くん…?」




…いいや。
今は依緒、俺のだし。



誰にも渡さない。
…絶対。



俺、自分でも驚くほど独占欲が強い。



でも、それは依緒限定。
今までの彼女にこんな風になったことない。




…それ、ちゃんと分かってて。