【短編】雫玖くんの甘いところ。






「…アンタ、なにしてんの?」


「あ…」




見られてしまった、とでも言うように、そいつは顔を赤らめた。



なんでかな。
今となっては謎なんだけど、ちょっとだけ、それが可愛く見えた。





「こ、この子がハンカチ風に飛ばされちゃったみたいで…大事なものだって言うので取ってあげたいんですけど、届かなくて…」





見るからに背小さいもんね。
だから小動物。



初対面の人にそんなこと言えるわけもなく、俺は大人しく、それに協力することにした。





地面を蹴って飛んだあと、一瞬木に捕まってハンカチを落とす。
空中でひらひらと舞うハンカチを拾って、おわり。



…なにをそんなに苦戦してたの?





「あ、ありがとうございますっ……」