みんなはなにも知らなくていい。
私たちでいい。




……って、ずっと思ってた。





私、皆川依緒(ミナガワ イオ)。
17歳になったばかりの高校二年生。




クラスでの立ち位置は、真ん中も真ん中。
可もなく不可もなく、みんなにいい顔して。




誰からも嫌われることなく、特別誰かに好かれることもなく、平和な暮らしをしている。




だから。
この地位を、揺るがすわけにはいかない。




私の平穏な学校生活のためにも…絶対に。





「依緒…よそ見するなんて、良い度胸だね」


「あ…っ」




首を強く吸われて、息ができない。
誰もいない空き教室。
二人分の吐息だけが響く。




絶対、ナイショ。
こんなの、言えない。