大きなあくびが出そうになり、思わず口に手をやった。

 でも本当に2人がまとまって良かった。
 雅ちゃん、嬉しそうだったな。指輪が左手の薬指で輝いてた。

 聖くん、奮発したな。
 一応私も相談に乗ったし、実際の指輪を見るまでドキドキだったんだけど、多分あれは思っていたのよりクオリティが高いやつだ。

 はぁ〜。雅ちゃんが羨ましい! 

 今の不毛な関係を続けてる限り、私にはまだまだ先だわ。

 いつも思う。
 いつか、亮平に私以外の誰かが出来たら……。
 誰かの手料理を食べられるようになったり、私以外の人にキスできるようになったら……。

 そんな未来に怯えているなんて、誰にも言えない。

 身体を重ねる度に、情と、いつか来るかもしれない別れへの恐怖が増す。

 初めは、流されるように始まった。
 でも、亮平じゃなかったら流されなかっただろう。

 結局、私の心には亮平しかいないのだ。もうずっと、いつからかわからないくらい前から。

 長く関係を続ければ、身体もなじむ。それに、この歳になれば、それなりに欲もある。求められれば、応えてしまうくらいの欲は。

 いつまで、今の関係が続くんだろう。
 いや、続けられるんだろう――。
 
 ◇ ◇ ◇